血糖値を下げるホルモンはインスリンしかありませんが、血糖値を上げるホルモンは7つも用意されています。
その中でもアドレナリンとノルアドレナリンは、精神的な強い症状を引き起こすのが特徴です。
アドレナリンとノルアドレナリンはドーパミンと一緒に、カテコールアミンとも呼ばれます。
アドレナリンは「攻撃ホルモン」と呼ばれ、血糖値を上げるためだけでなく、強いストレスにさらされたときにも副腎髄質から大量に分泌されます。
低血糖時に副腎髄質ホルモンの変動によって生じる精神症状 | |
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アドレナリン | イライラ、キレる、怒り、憎しみ、敵意、暴力、完璧主義、異常な(体重への)こだわり、不眠など |
ノルアドレナリン | 不安、うつ、落ち込み、恐怖感、焦燥感、自殺観念、脅迫観念、悪夢、不眠、パニック障害など |
強いストレスを受けていないのに、突然わけも分からずイライラしたり、悲しくなったり、キレたりすることが大きな特徴です。
たとえば、空腹になると人が変わったように怒りだしたかと思うと、なにかを食べるとケロッと治まることはよくあります。
月経前のイライラや憂うつ(PMSまたはPMDD)も、同様です。
最近増加している青少年の攻撃的な犯罪や非行には、アドレナリンが深く関係していると指摘されています。
うつやパニック障害の方では「死にたい」という気持ちが強くなり、発作的に飛び降りやリストカットに及ぶのはノルアドレナリンの影響が非常に強いためです。
このように血糖値を上げるためにアドレナリンやノルアドレナリンが大量に分泌されると、人の感情や行動に大きな影響を与え、人格すらも変えてしまうのです。
脳は体全体の血糖の20~30%を消費するため、低血糖状態では脳を守るため「強い眠気」に襲われます。
低血糖時では、生命維持に関わる『爬虫類の脳(第一の脳)』と呼ばれる脳幹に優先的にブドウ糖が分配され、高度な機能を司る『人の脳(第三の脳)』と呼ばれる大脳皮質には届かないため、人間的な理性のある判断はできなくなります。
その一方で、血糖値を上げるために分泌されたアドレナリンやノルアドレナリンが、情動を司る『馬の脳(第二の脳)』と呼ばれる大脳辺縁系を刺激し動物的な感情的興奮を引き起こします。
アドレナリンやノルアドレナリンがメチル化されて「アドレノクロム」「ノルアドレノクロム」となりますが、これらは数種類ある幻覚物質の一つで幻聴や幻覚の原因となることがあります。
ナイアシン(ビタミンB3)は、メチル化の予防に非常に効果が期待できることが分かっています。
ノルアドレナリンやアドレナリンの身体症状 |
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手足の冷え、頭がしめつけられる、呼吸が浅い、動悸、頻脈、目の奥の痛み、失神発作、月経前症候群、手指の震え、頭痛や偏頭痛、発汗、顔面蒼白、便秘、立ちくらみ、意識障害、痙攣など |
無反応性低血糖症では、脳は常にアドレナリンの刺激を受け続けるため、カラダは常に疲労困憊し、脳は混乱が続くため「うつ傾向」になりやすいのです。
また女性ホルモン(FSH、LSH、エストロゲン、プロゲステロンなど)の分泌に支障をきたし無月経や月経不順を起こす場合があります。
このように、アドレナリンとノルアドレナリンの分泌亢進によって、精神症状と肉体症状のいずれも発現しますが、症状の強弱には下記などにより個人差があります。
- 強いたん白質やビタミンB群の不足で自律神経失調がある方
- 腸内細菌叢のバランスが乱れ、セロトニンの分泌低下やリーキーガッド症候群を呈している方
- 甲状腺機能亢進でアドレナリンレセプターの感受性か亢進している方