過食行動を起こす原因の一つに、自律神経の失調による食欲中枢の刺激の乱れが関与しています。
脳の視床下部と呼ばれる場所では、『摂食中枢』と『満腹中枢』の2つの中枢をとおして私たちの食欲をコントロールし、自律神経が関与しています。
血糖値が低下すると、摂食中枢の刺激によって強い空腹を感じます。
低血糖症で血糖値が急激に低下すると、強い空腹を感じ、血糖値を上げるためにとくに甘いものが食べたくなります。
過食の衝動は学校や職場から帰宅した後の夜の時間帯に起きる場合が多いですが、これは摂食中枢が副交感神経に刺激されるためです。
その反対に、血糖値が上昇すると満腹中枢が刺激され、食欲が低下します。
満腹中枢は交感神経に刺激されるため、日中の学校や仕事中でのストレスや緊張を感じる時、そして喫煙により、副腎髄質からアドレナリンやノルアドレナリンが分泌され拒食傾向になることがあります。
摂食障害をお持ちの患者さまでは、必ずと云ってよいほど自律神経の失調が見られます。
カラダの症状 | 疲れやすい、だるい、めまい、偏頭痛、動悸、ほてり、不眠、便秘、下痢、微熱、耳鳴り、手足のしびれ、口や喉の不快感、頻尿、残尿感 など |
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精神的な症状 | イライラ、不安感、疎外感、落ち込み、やる気が無い、憂うつ、感情の起伏の激しさ、あせり |
自律神経失調症の症状は、低血糖症の症状と似ていませんか?
これは、生命維持のためのホメオスターシスを、自律神経と内分泌系が協調してコントロールしているからにほかなりません。
自律神経が失調する原因は、低血糖症による内分泌の乱れと、『栄養失調』です。
とくにたん白質とビタミンB群の欠乏では、神経伝達物質の材料が不足し自律神経失調症状は顕著に現れます。
女性は月経前に自律神経のバランスを欠き易いため、貧血や鉄欠乏性貧血ではPMSやPMDDの症状を引き起こします。
また食欲中枢はセロトニンの影響もうけるため、十分な日光浴がお勧めです。
セロトニンの材料は、必須アミノ酸(食事から補給が必要な9種類のアミノ酸)のトリプトファンとビタミンB6です。マグネシウムも、必要です。
セロトニンの前駆物質の9割は腸内細菌が作りますから、腸内環境の改善も大切です。
自律神経の機能 | ||
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臓器 | 交感神経 | 副交感神経 |
瞳孔 | 開く | 縮小する |
涙腺 | 涙が分泌 | |
唾液線 | ねばねばした唾液 | さらさらした唾液 |
血管 | 収縮 | 拡張 |
汗腺 | 分泌量が増加 | |
心臓の拍動 | 速くなる | 遅くなる |
胃や小腸の平滑筋 | 弛緩 | 収縮 |
胃、小腸、すい臓の分泌腺 | 分泌量は減少 | 分泌量は増加 |
副腎髄質の分泌 | 促進 | |
大腸 | 弛緩 | 収縮 |
膀胱 | 収縮 | |
肛門括約筋 | 収縮 | 弛緩 |